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2009年10月13日(火)更新

中小企業経営者のためのM&A【実践編】Vol.7


デューデリジェンス 【due diligence】(=DD)と言っても様々です。

今回は“大企業同士のDD”と“中小企業のDD”の違いについてご説明します。


大企業の買収では、先ず被買収企業の財務・税務・法務・環境を調査することは、

当然のことですが、それよりも、その業界の市場調査、買収後の事業シナジー、

事業計画の立案並びにキャッシュフローの算出、買収後に想定されるリスクなどに

焦点をおいて総合的に調査をしていきます。


そしてその結果をふまえ、買収条件(主に価格)に照らし合わせながら案件として

検討していきます。

また事業性については、調査機関等を使って独自の市場調査をしていきます。


一方、中小企業のDDは、将来について云々という調査よりは、どちらかと言うと、

今までに開示された資料やデータなどの信憑性を確認することや、現物の確認

(たな卸し)といったところを主な目的として調査します。


他にも大事なことはありますが、

基本的には貸借対照表の時価修正と損益計算書のチェックなどです。


さらには、中小企業のDD場合、指摘されそうな項目を事前に把握できていれば、

完璧です。

これはアドバイザーの仕事になりますが、出来上がってきた調査報告書との

差異がなければないほど優秀なアドバイザーと言えるでしょう。


●今回のポイント

中小企業の場合、DD実施時では既に大方の条件が合意しているということです。

DD後に何らかの瑕疵が発覚した場合、致命的でなければ買収株価等で調整が

できます。

あと残された課題としてはキーパーソン、オーナー以外の株主、主要取引先への

開示、いわゆるディスクローズのタイミングといったところです。
(結構神経使います)


私見ですが成約確率論でいうと、大企業の場合、DDで道半ば、中小企業の場合は、

8割以上といったところでしょうか。


ちなみに上場企業の場合、基本合意でプレス発表しますので、ディスクローズの

タイミングが違うことになります。

逆にオープンにしないと内々では決してできません。