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2009年05月30日(土)更新

後継者問題と社会経験

≪3つのケース≫

【ケース1】
・年商7億円、電子部品製造業のオーナーの息子が、大学を卒業後に某大手通信

会社に就職しました。社長は、息子の将来を考え社会勉強や組織社会を経験させ

るために就職には反対しませんでした。月日が経ち息子も30歳になりました。通信

会社では通信システムの研究開発をしています。次世代に向けたITの先端技術らし

いです。ある日、息子が喜びながら帰ってきたそうです。「おやじ、今やっている開発

が認められた」。自分の業績を会社が認めてくれたことをうれしそうに語ってくれた

そうです。そのときの心境は複雑な思いだったそうです。そして最後にこういいました

「あと3年待つ」。  

今は、社長の相談相手として時々飲みに行っています。


【ケース2】
・ある食品メーカー二代目社長からの相談です。私は、小さいときから後継者として、

先代のオーナーから教育されてきました。結果として、現在二代目社長として頑張っ

ており、自分自身もこれでよかったと思っています。でも、自分の息子に対しては、小

さいころから後継者としての教育は一切してこなかったそうです。自由にさせてきたと

のことです。だから、おそらく息子は継ぐ意志はないと思っていました。

だから将来に備え資本の一部を移動しはじめました。しかしその後、息子は経営学

の勉強をしたいと自ら言ってきたそうです。

今、息子は経営学を学んでいます。おやじの会社の従業員として。

私は、この会社がさらに発展していくように支援していきたいと思っています。


【ケース3】
・息子に会うために社長と奥さんが、パリに出かけました。そこで、息子に最後の

確認をしました。「本当に継ぐ気はないのか」。返事は「ない」と即答だったそうです。

息子は外資系の為替ディーラーです。当時、外資系の金融機関は花形の職業でした

から年収も高額です。父親の給与より高かったと思います。

帰国後相談にこられました。相談のとき奥様は泣いておられました。

社長と相談し打ち合わせをした結果、最終的に会社を譲渡することを決断しました。

結果論ですが、金融情勢が変わったこの時代、今となってはどっちの選択が

よかったのか、わかりません。