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2009年07月14日(火)更新

中小企業経営者のためのM&A【実践編】vol.4

≪M&Aの交渉プロセス≫

【工場視察編】
買い手企業側は、ある段階まで交渉が進んできたら被買収企業の工場や現場を視

察します。このとき売り手企業側は、ホスト役に務め、逆によく見せようとして何でも

かんでもオープンにしてしまう傾向があります。そのこと自体悪いことではありません

が、一方で交渉ごとはあくまでも交渉であり、最後まで何が起こるかわからないのが

M&Aです。最悪の事態も念頭に入れながら情報開示(リスクヘッジ)する必要があ

ります。いきなり全てを開示する必要はありませんので交渉ステップに合わせて順次

情報開示していくことをお勧めします。



【従業員へのディスクローズ】
M&Aの交渉プロセスで、絶対に後戻りできないハードルがあります。それは従業員

への開示です。会社を売却することを一度従業員に開示してしまえば、二度とやりな

おしはききません。もし交渉が破談に終われば大変なことになってしまいます。能力

の高い従業員は即自分の身の振り方を考えるでしょう。気がつくと、会社は売却でき

ずかつ従業員はいなくなってしまいます。極端な話、経営自体が成り立たなくなってし

まうこともあり得ることです。中小企業のM&Aは、“キリンやサントリー”のような大

企業同士の経営統合や買収とは違います。少なくとも従業員のおかれている立場や

環境が全く違います。

そのため、従業員、特に工場長などのキーパーソンに事前に開示するときは、細心

の注意とタイミング、そして何よりイベントが必要かもしれません。