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2009年07月07日(火)更新

中小企業経営者のためのM&A【実践編】vol.3

≪会社を買うとき≫

中小企業のM&Aを検討するにあたり、最初に確認しておきたい重要なことがありま
す。それを私たちは三種の神器といっています。この譬えは私が新人の頃、私の上司から教えてもらった言葉です。

1. 会社を売却する理由
2. 会社を売却する意思
3. M&Aの情報源(専任案件or出回案件)

この3つを確認してください。

売却する理由は、買い手側も納得するものでなければ意味がありません。後継者不在という以外に、例えば先行き不安とか、体調不良によるものとかがあります。

現在、利益体質の会社であったとしても、将来に対し先行き不安を抱えている経営者は多いものです。自分自身の能力に限界を感じている経営者も多いはずです。

前向きに積極的な事業展開をしたいと思っていても、一方では自分の年齢と体力を考えると、どうしても借金してまでも事業を拡大するにはあまりにもリスクがありすぎ

ると思っている経営者は多いと思います。そのような心境を察してあげなくてはいけません。最初から弱い部分を話してくれる経営者はいないと思います。本当の理由を

聞くということはそう簡単なことではなく、それだけの信頼関係と気持ちの整理期間が
必要になるのではないでしょうか。



会社を売却する意思は、相手方と実際に面談して確認するしかありません。しかし会社売却しなければならない理由がはっきりしている場合は、残された選択肢は限ら

れてきます。あとは決断する時間軸の選択肢だけということなります。たまに、最後の段階になって「会社を売るのを止めます」という話しを聞きます。その理由を聞くと

殆どのケースが、売る理由があいまいだということです。お互いに貴重な時間とコストをかけ交渉している訳ですから、このような事態にならないように事前に確認しておきたいものです。

時々、「株価が高かったら売ってもいい。値段次第」というオーナーがいます。この場合は要注意です。最後にどんでん返しが待っています。



候補先がなかなか見つからない時、売り手のアドバイザーは、複数の買い手側アドバイザーに依頼することがよくあります。しかし一方で、売り手側に複数のアドバイザ

ーがいるケースがあります。この場合は要注意です。情報がバラバラで収集つかなくなっていることが多く、情報としてのクオリティが下がります。そもそもM&Aを本気で

考えている経営者ならば、普通1社に絞って依頼してくるものです。あっちこっちに依頼している情報は信憑性に欠けます。


次は、M&Aの交渉過程で注意することについてお話したいと思います。