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しんがり ~山一證券最後の12人 ~

投稿日時:2015/08/24(月) 17:03rss

負け戦のときに、最後の列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり
というそうだ。

私は、恥ずかしながらこの意味を本書を手に取るまで知らなかった。
さて、この本はビジネス・ノンフィクションである。














登場する
人物は実名で記さている。
社内調査報告書(平成10年)も実名で報告されている。

読んでいるうちに、登場人物の顔が思い浮かび、
その人のしゃべり口調で読んでいる自分に気が付いた。

そして自分が勤めていた会社のことだけに読み終わるのに
そう時間はかからかった。


読み終わってみると、この本に書かれていることについて、
知っていること、知らなったこと、噂は、やっぱり本当だったのか、
などなど当時を思い起こし複雑な心境になった。


本書で登場してくる橋詰常務は、私が新宿支店当時の新宿支店長である。
当時、新宿支店の法人営業だった私は、金融機関の担当とは別に、
株式公開(上場)予備軍の開拓営業もしてた。

橋詰支店長は、株式公開業務を私に任せたくれた上司である。
結果、お陰様で複数の幹事を獲得することができた。

主幹事会社の資金運用も任された。その企業群は、今や日本を代表する
ビッグカンパニーへと成長している。その内の1社は「私の履歴書」に
掲載された。


現在私の仕事は、M&Aの仲介・アドバイザーであるが、
あのときの株式公開業務の仕事が、現在のビジネスに活かされている
ことは、言うまでもない。

自主廃業決定後、橋詰常務は、就職先として私にある上場企業を紹介
してくれた。最終的には、その企業にはいかなかったが、

本当に最後までお世話になりっぱなしであった。
感謝しても感謝しきれない。もう、逢うことができない今となっては
結果を出して恩に報いるのみである。


昭和の証券界、とかく良きも悪きも色んなタイプの上司がいたなかで、
私は、良き上司に恵まれた方だと思っている。

大学のOB訪問から現在に至るまで、私の人生は、すべて山一證券の人脈で
成り立っている。

中小企業のM&Aでは、日本のリーディングカンパニーへと成長した
㈱日本M&Aセンターを紹介してくれたのも山一の先輩であった。

入社当時、未上場企業であったが、資本政策通りにスケジュールをこなし
今や一部上場企業へと飛躍した。そこでは多くの感動があり働くことへの
喜びを学んだ。お世話になった諸先輩・後輩に感謝している。


さて話は変わるが、
野澤社長とは、野澤社長が取締役東京本部長だった頃にお世話になった。
法人担当者として、期初期末は、取引先へ役員と一緒に表敬訪問するのが
重要な仕事であった。

役員を連れて行くだけで商売をもらえたり、逆に連れていなかいと他社に
とられたり、
ファイナンスの予定があると、今度の引受シェア「山一さん、
どっしようかなぁ」っと嫌味っぽく言われたりもすることもあった。

野澤本部長は、どこの取引先へ訪問するのも快く承諾してくれた。
取引先へ向かう車中では、良く世間話などもした。気さくな上司だった。


数年前、赤坂の歩道をあるいていたら、ばったり野澤社長にあった。
「やあー」っと声を掛けて頂いたが、体調がすぐれないのか、
少し元気がなかったのが気がかりである。


来月9月20日から清武英利氏原作の連続ドラマ 江口洋介さん主演
しんがり ~
山一證券 最後の聖戦~」がスタートする。

ほんの一握りの能力のない不甲斐ない経営陣によって廃業へと
追い込まれた山一。その要因となった2,600億円にも及ぶ簿外負債。

出来上がった「社内調査報告書」に目を通すと、簿外債務発生原因は
昭和60年まで遡るとある。この報告書、本当にすごい内容である。

これを読んでいると社内調査委員全員の血のにじむ苦労が伝わってくる。
社内調査委員の皆様、本当にありがとうございました。



「社内調査報告書について」昔のこと、終わったことを
とやかく言うつもりはない。

前向きに物事を捉えるならば、


 会社が無くなったことで、今の自分がある。
 今の自分は、やりたい仕事、好きな仕事ができる。


 もし会社が存続していたならば、自分の意思に反し組織に従い、
 組織のために働く、

 そんなサラリーマンを演じていたかも知れない。
                              


山一證券ありがとう!

以下、実際に受け取った解雇予告通知書





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