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2009年12月15日(火)更新

個人保証

オーナー経営者が会社の経営権として株式を売却するということは、

包括的に譲渡することを意味します。


従って、オーナーによる会社の負債、個人保証も相手方が引き継ぐことが

原則となります。

株式譲渡は実行したが、個人保証の切換えをしていないケースがあります。


M&A専門会社を通じて株式譲渡が成約した場合は問題ないと思いますが、

自分達のみで手続きを行った場合やアフターフォローをしない業者など、

M&A後の個人保証の解除等、切換えの手続きを忘れてしまっていることが

あります。


個人保証や保証人等は、金融機関(銀行)だけに限ったことではありません。


取引形態や契約書を今一度チェックしてみてください。案外、多岐にわたり保証

していたことに気づくでしょう。


社長と株主が交代しただけで安心していると、あとで大変なことになります。

2009年10月13日(火)更新

中小企業経営者のためのM&A【実践編】Vol.7


デューデリジェンス 【due diligence】(=DD)と言っても様々です。

今回は“大企業同士のDD”と“中小企業のDD”の違いについてご説明します。


大企業の買収では、先ず被買収企業の財務・税務・法務・環境を調査することは、

当然のことですが、それよりも、その業界の市場調査、買収後の事業シナジー、

事業計画の立案並びにキャッシュフローの算出、買収後に想定されるリスクなどに

焦点をおいて総合的に調査をしていきます。


そしてその結果をふまえ、買収条件(主に価格)に照らし合わせながら案件として

検討していきます。

また事業性については、調査機関等を使って独自の市場調査をしていきます。


一方、中小企業のDDは、将来について云々という調査よりは、どちらかと言うと、

今までに開示された資料やデータなどの信憑性を確認することや、現物の確認

(たな卸し)といったところを主な目的として調査します。


他にも大事なことはありますが、

基本的には貸借対照表の時価修正と損益計算書のチェックなどです。


さらには、中小企業のDD場合、指摘されそうな項目を事前に把握できていれば、

完璧です。

これはアドバイザーの仕事になりますが、出来上がってきた調査報告書との

差異がなければないほど優秀なアドバイザーと言えるでしょう。


●今回のポイント

中小企業の場合、DD実施時では既に大方の条件が合意しているということです。

DD後に何らかの瑕疵が発覚した場合、致命的でなければ買収株価等で調整が

できます。

あと残された課題としてはキーパーソン、オーナー以外の株主、主要取引先への

開示、いわゆるディスクローズのタイミングといったところです。
(結構神経使います)


私見ですが成約確率論でいうと、大企業の場合、DDで道半ば、中小企業の場合は、

8割以上といったところでしょうか。


ちなみに上場企業の場合、基本合意でプレス発表しますので、ディスクローズの

タイミングが違うことになります。

逆にオープンにしないと内々では決してできません。

2009年06月18日(木)更新

プロ向け市場「TOKYO AIM」がスタート

プロ向け市場「TOKYO AIM」がスタート

「TOKYO AIMは、日本とアジア経済の発展に貢献できる国内外企業の成長への

期待と果実をプロ投資家に提供し、中長期的投資が行われる市場創設を目的とし

ます。東京をアジアにおける金融市場のハブとして、そのプレゼンス向上に貢献する

ことを目指していきます。」 とコメントしています。ロンドンAIMをモデルに設立された

全く新しい市場です。

tokyo aim

http://www.tokyo-aim.com/index.html


TOKYO AIMは、上場基準に数値基準がありません。また指定アドバイザー

(J-Nomad)が、企業の上場時にその上場適確性を評価するとともに上場後も上場

企業が取引所の規則を遵守するように指導していく役割を担います。



私は日本の経済の原動力は、何といっても、“ものづくり産業”と“新興企業の育

成”だと考えています。そんな市場にTOKYO AIM(エイム)が成長してほしいと

切実に願っています。



企業の存続と従業員の雇用維持安定のための支援業務、ベンチャー企業の支援

業務を柱に社会に必要とされる、相談される企業を目指していきます。

アクタスアドバイザリー株式会社 辻松律男

2009年06月05日(金)更新

スティールパートナーズ&アデランス

投資ファンドと買収防衛策

投資ファンド「ものいう株主」が、現経営陣に対し経営の立て直しや株主価値向上の

ために、ものをいうことは大いに賛成である。

それが結果的に株主のためになると同時に、従業員や取引先のためになると思う

から。最終的には消費者のためになり景気回復につながる。

だから、今後発表される企業価値向上策に興味を持っている。



では、投資目的が違う理由だったらどうだろう。

株価が割安だから、現預金が過剰だから、キャピタルゲイン重視だとしたら、

果たして賛成できるだろうか。



“上場企業”と“非上場企業”の違いってなんだろう、どっちがいいんだろう、

また買収防衛策は誰のためにある。



株式会社は“誰のもの”  

⇒ 株主のもの、経営陣のもの、社員のもの、取引先(利害関係者)のものなどなど。

会社経営とは本来どっちを向いて商売すべきなのか。



株式会社とは、株式上場の意義とは、

本来のあるべき姿、もう一度見直す時期にきているのかも知れません。

今日は、私の独り言でした。辻松

2009年06月02日(火)更新

PMI

PMIとはPost Merger Integrationの略

簡単に表現すると経営統合前に分析・検証し、統合後の企業の付加価値を追求し

ていくためのプロセスとそのマネジメントのことを意味します。

買収のための融資が難しくなってきた昨今、今までのようなイケイケドンドンの買収

劇は終息したと思います。

これからが、本当の意味でのM&A時代の到来ではないでしょうか。もともとM&A

は、関係するみなさんに喜んでもらえるWIN-WIN-WINでなければならないと私

自身考えています。

そこで最近、外交先でよく話題になるPMIについて取り上げてみました。

M&A(経営統合)を成功させるためには、

統合前に現状を把握し、検証、分析をし、統合後に想定される事項を取り上げ、事

前にその対策を講じておくことが重要です。そして、それらをふまえ統合後の経営戦

略を策定しシナジーの最大化を図ります。と同時に統合後に想定される様々な問題

を回避することにもつながります。

あたり前のことかも知れませんが、そのあたり前のことが今までできていなかったの

かも知れません。

また、将来ビジョン(統合後の事業計画)にあわせて、それをマネジメントする人材の

役割も成否のカギを握ります。

企業文化(DNA)は、同じように見えても違うものです。事前にお互いの強み、弱み

を共有化し理解を深めておくことが重要です。一緒になったあとの余計なトラブルを

避けるためにも。結婚と同じですね。

20年前は誰も想定していなかった財閥を超えた、ライバル企業同士が合併する時

代です。経営統合は、今や大企業だけの問題でだけではなく、会社が存続するため

の手法として全ての企業に言えることかも知れません。

2009年05月19日(火)更新

総論 (中小企業の株価の考え方 №4)

≪続き≫

前にも述べましたが、そこで算出された評価がすべてではないと思っています。

相手からみて、高いと思えば高いですし、安いと思うえば安いのです。

とは言っても、ある程度のロジックをもって評価しなければ収拾がつきません。

そこで相手方との交渉をするうえでも基準値が必要となります。そのための評価である

と理解した方がよろしいかと思います。


【M&Aで、売り手と買い手に、株価の開きがあった場合に注意すること】

1. お互い一緒なったあとの青写真が、きちんと描ききれているか。

2. M&A後一緒になったあと、先ず最初に取組むべきことは「何か」を事前に

話しあっているか。できているか。

3. そのうえで、お互いの目指すベクトルが同じ方向であることを確認する。

4. ここまで交渉が進んでくると、普通、どちらかが、妥協してくるものです。

5. それでも株価に開きがあったら、一方的に価格を上げたり下げたりする提案ではなく、

お互いがお互いに敬意を表し、歩み寄りよる気持ちを持たなければなりません。

代替案を出し合って双方で、痛み分けする気持ちが大切です。

6. ビジネスの交渉はフェアであることが原則であると思います。

 ≪ちょっとブレイク≫
上記6は、口でいうほど、簡単なことではありません。私は、「営業に関する基本取引

契約書」を数多く拝見してきました。中小企業が大企業と取引をするとき、私が見る

限りアンフェアな契約形態になっているものが多いです。商売を取るためには致し方

ないことだと思います。しかし、中小企業のM&Aの世界では、資本力のある企業の

意向よりも、オーナーの気持ちを理解してもらうことの方が重要であると考えています。

またそれをコーディネートすることが私の役割だと認識しています。M&Aを成功さ

せるための秘訣です。


【企業評価よりも大事なこと】

今すぐに会社を売らなければならないケースと違い、後継者不在による第三者への

会社譲渡の場合、

株価を議論する前に、ビジネスの話しを何度も双方で話し合うことの方が重要です。

この順番を間違えると、あさっての方向を向いたトンチンカンな議論をすることになります。

当然ですが、経営権の移譲があれば、オーナーの個人保証を解除し、買い手がそ

の保証を肩代わりすることになります。株式の売買だけで、コトが終わるわけではあ

りません。買い手は、包括的に無形の資産を承継することになります。同時にリスク

も継承することになります。そのような条件や交渉を経て、企業本来の価値が決まっ

ていくのではないでしょうか。

「中小企業の株価の考え方」(私自身の経験談より) 終わり。

2009年05月18日(月)更新

企業評価2-2 (中小企業の株価の考え方№3)

≪続き≫

【損益部門での修正事項】  

1. M&Aでは退任する役員と、買い手企業から常勤で派遣される新経営陣の

報酬額を、業界の一般的な水準に訂正しその差額を反映させます。

2. 会社で掛けている役職員保険などは必要なものと、そうでないものを選別。

3. オーナーの意図で恣意的に操作していることがあれば調整。

4. 賃貸収益や配当など本業以外から生まれる収益について、その継続性を検証。

5. 会社の総資産からみた収益を検証。

・ 例えば、借入金も含め総資産が10億円ある企業が一年間に生み出す利益が

5,000万円だったとします。

その一方で、総資産が5億円の企業が生み出す利益は5,000万円だったとします。

・ 同じ5,000万円でも、総資産が小さい企業の方が収益率が高い企業となり、

企業価値も高いことになります。 いわゆる、総資産利益率(ROA)をみます。

上記事項を一つずつ検証していき、実際の収益力を算出します。

次に、その収益を年倍法で、何年にするかを検証しますが、これは業種や、マーケ

ット動向に応じて、その時々で変わってきます。

【検証する主な確認事項】

① ビジネスモデルが、これからの時代にあっているかどうか。

② 取引先の確認(口座の価値や与信状況によっても変わってきます)

③ メーカーの場合は、何と言っても技術の評価だと思います。

・技術力評価のポイントは、たとえどんなに素晴らしい内容のパテントを保有していたとしても、

そこから収益が上がっていなければ評価できないということです。

④ そして、最後に人材(人財)

・ 私の場合、会社や工場を訪問するときに、従業員の働いている姿や挨拶、

トイレチャックなどをすることを心がけています。

以上のようなことをふまえ、総合的に判断して評価します。

この続きは、また次回とします。

2009年05月16日(土)更新

企業評価2-1 (中小企業の株価の考え方№2)

≪続き≫

【結論】

中小企業の株価を評価するとき、幾通りの評価方法があるなかで、

もっとも理にかなっている評価方法が、

時価純資産価額に収益を加算した方式であると思います。

幾通りの評価をやってきたなかで、最終的に辿り着いた私自身の結論です。

例えば、下記B/S(簿価)の会社から相談を受けたとします。

【 資 産 】    【 負 債 】
現預金   50   買掛金      200
売掛金  200
在庫    100  借入金       350
建物    100  【負債合計】    550
設備    100    
土地    200  【資本(純資産)】 210                  
保険積立金 10
【資産合計】760  【負債・資本合計】760

まず、会社に訪問して、財務・決算内容等についてヒアリングをおこないます。

その結果、以下のようなことが判明しました。

・売掛金は全て回収可能であり200で評価

・在庫は、簿価から20%減額し80で評価

・建物は、償却不足もなく100で評価

・設備は、償却不足額が10あり、90で評価

・土地は、含み損があり150で評価

・保険は、現時点の解約返戻金が簿価より多く20で評価

・退職給付引当不足が10あった。

すると修正したB/Sは以下のようになります。

【 資 産 】      【 負 債 】
現預金    50    買掛金      200
売掛金    200    
在庫      80   借入金       350
建物     100   退職給付引当金  10
設備      90   【負債合計】    560
土地     180   
保険積立金 20    【資本(純資産)】  160
【資産合計】 720   【負債・資本合計】 720

210あった簿価純資産が、時価に修正したら160になりました。

したがって、時価純資産価額は160ということになります。

次に、損益を修正します。

オーナー企業は、役員報酬が通常に比べ過分にとっているケース、

逆に、仕事上、赤字をだせないため、殆どとっていないケース、

また、必要以上に保険をかけているケースなど、そのスタイルは様々です。

そこで、適正と思われる水準に置き換えることにより、実際のところ、どれぐらい

儲かっているのかをみる必要があります。

それによって修正された収益が、のれん(営業権)を算出する根拠となります。

このつづきは、また次回とします。

2009年05月14日(木)更新

中小企業の株価の考え方 №1

『中小企業の株価』

中小企業の株価と言えば、通常、類似業種比準価額方式や純資産価額方式

収益還元方式などになりますが、

ここでは、M&A実行時の売買金額の参考として使用される株価

=すなわち“企業価値”のお話しをします。

先ず、“企業価値ってなんでしょう。” 

その1:有形資産と無形資産の価値を総合して評価したもの

収益だけではない。長年培ってきた取引先との信用・ブランド・技術力・又は苦楽を

ともにしてきた優秀な社員(人財)の価値など。

その2:投資業務から生み出すキャッシュフローから判断して評価したもの 

企業全体の収益源(本業と投資融資)が将来生み出すキャッシュフローを現在価値

に直したもの

(注)現在価値とは、将来のキャッシュが、現在のいくらに相当するかを割引して評価

した価値のこと。

ちなみに、土地の価格は「一物五価」といわれています。

では、企業価値は、というと、⇒ 「一物多価」という表現をすることができると思います。

企業価値は、上記、その1の無形資産の価値をどうみるかで、評価が大きく変わって

きます。

同じ企業であっても、“評価する側の見方次第で、価値観が変わる”ということです。

買収する側は、その企業の収益に魅力を感じているのか、それとも、技術力なの

か、人材なのか、取引先なのか、それぞれに思惑があります。

また、経営権の移譲が発生する株式譲渡は、発生しないときの企業評価よりも当然

高くなります。同じ株価にはなりません。

ということは、本来、企業の真の価値を評価するということ自体非常に難しいというこ

とです。

真の価値は、もしかしたらオーナーといえども、だれもわからないと言ったところでし

ょうか。

それじゃ、話が前にすすみません。

問題は、これからです。≪次回へつづく≫

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